食育はいつから始めるのが適切ですか
食育は具体的にいつから始めるのが適切ですか
食育を始める特定の「この日から」という開始時期は定められていません。食育は、子どもが生まれてからだけでなく、実は妊娠している頃から始まっていると考えられています。胎児はお母さんが食べた物の味を羊水を通して感じると言われており、これがその後の味覚の形成に影響を与えるという研究もあります。
生まれてからは、母乳やミルク、そして離乳食を通して様々な味や食感を経験します。これはまさに食育の第一歩です。したがって、食育は子どもが成長する過程の中で、日々の生活を通して継続的に行われるものであると理解することが大切です。
各発達段階でどのような食育を意識すれば良いですか
子どもの発達段階に合わせて、意識するべき食育のポイントは異なります。
-
乳児期(0歳〜1歳頃) この時期は、安全に「食べる」という行為を体験することが中心です。離乳食を通して、母乳やミルク以外の様々な食品の味や舌触り、固さに慣れていきます。五感を使い、食の経験を積み重ねることが重要です。楽しい雰囲気の中で食事ができるような環境作りも大切です。
-
幼児期(1歳〜6歳頃) 食への興味や関心が高まる時期です。自分で食べようとする意欲を大切にし、スプーンやフォークの使い方を覚えます。家族と一緒に食卓を囲み、食事の楽しさを共有することが食育に繋がります。食材に触れたり、簡単な調理のお手伝いをしたりする機会を作ることも、食べ物への関心を深めるのに役立ちます。また、「いただきます」「ごちそうさま」などの感謝の気持ちや、食事のマナーを少しずつ伝えていくこともこの時期から始まります。
-
学童期(6歳頃〜12歳頃) 心身ともに大きく成長し、活動量が増えます。自分で食事を選んだり準備に関わったりする機会が増えるため、食品の栄養や体の健康との関わりについて具体的な話をすることができます。家族で食料品の買い物に行き、旬の食材や産地について話題にしたり、食品表示を見たりすることも学びになります。食を通じたコミュニケーションを大切にし、孤食を避ける工夫も食育の一環です。
どの時期においても、食育は「これをしなければならない」と難しく考える必要はありません。日々の食事の時間を子どもと穏やかに過ごし、食に対する興味や感謝の気持ちを育んでいくことが、食育の土台となります。
時間がない共働き家庭でもできる食育はありますか
共働きで時間がない家庭でも、食育は十分に行うことができます。完璧を目指すのではなく、できることから少しずつ取り入れる姿勢が大切です。
-
一緒に食卓を囲む時間を大切にする 例え短い時間でも、家族揃って食事をすることで、子どもは安心感を得られ、食の楽しさを共有できます。無理なく続けられる頻度で実践します。
-
食事や食材に関する簡単な会話をする 「この野菜は何かな?」「今日のご飯は何が入っているかな?」など、食事中に食べ物に関する会話をします。食への興味を引き出すきっかけになります。
-
調理の一部を見せる、手伝いを頼む 時間がある時に、野菜を洗う、ちぎるなど、子どもの年齢に合わせてできる簡単な調理工程を見せたり、手伝いを頼んだりします。食べ物がどのようにして食卓に並ぶのかを知る機会になります。
-
旬の食材を話題にする スーパーで見かけた旬の食材について、「これは今が美味しい季節だよ」などと話すだけでも、食に関する知識や季節感を伝えることに繋がります。
時間がない中でも、これらの工夫を取り入れることで、子どもは食に対する関心を持ち、食を大切にする気持ちを育んでいくことができます。