食事中の遊び、どうすればいい? 食育の考え方
お子様が食事中に遊んでしまい、食事がなかなか進まないというお悩みは、多くの保護者の方が経験することです。食育の観点から、この行動の背景にあるものと、どのように対応すれば良いかについて解説します。
Q: 子どもが食事中に遊んでしまうのはなぜですか?
A: 子どもの発達段階や環境が関係しています。
食事中に遊んでしまう行動には、いくつかの理由が考えられます。
- 発達段階による集中力の持続時間: 小さな子どもは、大人に比べて集中力が長く続きません。食事という行為への興味が途切れると、周囲のものや自分の手で遊び始めることがあります。これは自然な発達の過程の一つです。
- 手や指の感覚の発達: 食材を触ったり、食器をいじったりすることは、手や指の感覚や運動機能の発達に関わっています。特に乳幼児期には、食べ物や食器が遊びの対象となることがあります。
- 周囲の環境: テレビがついている、おもちゃが見える場所にあるなど、食事以外の刺激が多い環境では、注意がそれて遊びに繋がることがあります。
- 食事への関心の低下: お腹があまり空いていない、苦手なものが出ている、食卓の雰囲気が楽しくないといった理由で、食事自体への関心が薄れ、遊びに繋がることがあります。
- 食事時間の長さ: 食事時間が長すぎると、子どもは飽きてしまい、遊び始めることがあります。
これらの要因が複合的に影響していることが考えられます。
Q: 食事中の遊びに、食育の観点からどのように対応すれば良いですか?
A: 食事環境を整え、声かけを工夫し、メリハリをつけることが大切です。
食事中の遊びへの対応は、単に遊びをやめさせるだけでなく、食事を「食べる時間」「楽しい時間」として捉えられるように導くことが食育の重要な視点です。以下に具体的な対応策をいくつかご紹介します。
- 食事環境を整える:
- 食事中はテレビを消し、おもちゃが目に入らないように片付けます。
- 子どもが落ち着いて座れる椅子やテーブルを用意します。足がぶらつかないように足置きがあるものが望ましいです。
- 食事時間にメリハリをつける:
- 食事時間は長くても20分から30分程度を目安にします。時間を決め、「この時間で食べようね」と伝えます。
- 時間になったら、たとえ残っていても食事を終えるようにします。これにより、食事時間とそれ以外の時間の区別をつけ、食事への集中を促します。
- 声かけを工夫する:
- 「遊ばないで」と否定的な言葉を繰り返すのではなく、「美味しいね」「これは何の味かな?」「お口に入れてみようか」など、食事そのものや食材に関心を向けるような肯定的な声かけをします。
- 食べられたときには具体的に褒めます。「〇〇を全部食べられたね、すごいね」など。
- 一緒に食べる、楽しい雰囲気を作る:
- 可能な限り保護者も一緒に食事をします。大人が楽しそうに食べている姿を見せることは、子どもにとって良いモデルになります。
- 食事中の会話を楽しむなど、和やかな雰囲気作りを心がけます。食事は楽しい時間であるという経験を積ませることが大切です。
- 子どもの発達を理解する:
- 手づかみ食べなど、発達上必要な行動もあります。すべてを「遊び」として否定するのではなく、安全に配慮しながら見守ることも必要です。ただし、食べ物を投げたり、器の中をぐちゃぐちゃにしたりする行為は、遊びではなくマナーとして適切でないことを根気強く伝えます。
- お腹の空き具合を確認する:
- 食事前に甘い飲み物やおやつを与えすぎていないかなど、食事時にお腹が空いている状態であるかを確認することも重要です。
これらの対応は、すぐに効果が出ないこともあります。根気強く、お子様の成長に合わせて柔軟に対応していくことが食育においては大切です。食事は栄養を摂るだけでなく、心と体を育む大切な時間であることを忘れずに、お子様との食事の時間を大切にしてください。