食育は学校任せでいいですか 家庭での役割はどう考えますか
食育は学校や保育園に任せておけば大丈夫でしょうか
子どもが通う学校や保育園で食育の時間が設けられていると、家庭では特に何もしなくても良いのではないかと考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、食育は学校や保育園だけで完結するものではなく、家庭での取り組みが非常に重要になります。学校や保育園と家庭では、食育においてそれぞれ異なる役割を担っていると考えられます。
学校や保育園での食育の役割
学校や保育園では、集団生活の中で食に関する基本的な知識やマナーを学ぶ機会が多くあります。例えば、給食を通して栄養バランスの取れた食事を知ったり、旬の食材や地域の食文化に触れたり、食べ物の大切さを学んだりします。また、皆で一緒に食事をすることで、協調性や楽しい食事の雰囲気を感じ取ることも食育の一環です。専門家である栄養士などが関わることで、体系的な知識を得る場ともなります。
家庭での食育の役割
一方、家庭は子どもにとって最も身近で、食に関する習慣や価値観の基礎が作られる場所です。家庭での食育には以下のような役割があります。
- 食習慣の形成: 決まった時間に食事をする、好き嫌いなく食べる努力をするなど、日々の食習慣は家庭での繰り返しの中で身につきます。
- 安心感と自己肯定感: 家族と一緒に食卓を囲み、会話をすることは、子どもの心を満たし、食への安心感やポジティブな感情を育みます。
- 個別の対応: 子どもの体質、成長段階、興味関心に合わせて、食事の内容や伝え方を柔軟に変えることができます。
- 実践の場: 調理の手伝いや配膳、片付けなど、食に関わる実践的な活動を通して、食べ物への関心を高め、自立心を育むことができます。
- 感謝の気持ち: 生産者や調理してくれた人への感謝の気持ちを伝える習慣は、家庭での声かけや姿勢から伝わります。
学校や保育園での食育が知識や集団での経験を提供する場であるのに対し、家庭での食育はそれらを日々の生活の中で実践し、定着させる役割を担っています。
共働き家庭でもできる家庭での食育のポイント
時間がない中で家庭での食育にどこまで関われば良いのか、と悩む方もいらっしゃるでしょう。しかし、特別なことをする必要はありません。日々の生活の中で少し意識するだけでも、十分な食育になります。
- 一緒に食事をする時間を大切にする: 難しい場合でも、朝食か夕食のどちらかだけでも家族揃って食べる時間を作るよう意識します。短い時間でも、今日の出来事を話したり、食事について話をしたりすることで、食卓が楽しいコミュニケーションの場になります。
- 食べるものに興味を持たせる: 食材の名前を教えたり、「この野菜は畑でできるんだよ」「お魚は海にいるんだよ」など簡単な話をしたりします。スーパーでの買い物時に子どもに選ばせてみるのも良いでしょう。
- 「おいしいね」「ありがとう」を伝える: 食事中に「おいしいね」と声に出したり、食事を作ってくれた人に「ありがとう」と伝えたりすることで、食事への良いイメージや感謝の気持ちを育みます。
- 完璧を目指さない: 毎食栄養バランスを完璧に整えたり、全て手作りしたりする必要はありません。できる範囲で、子どもと一緒に食に関わる時間を持つことが大切です。時には市販のものを上手に活用することも現実的な方法です。
食育は、単に栄養バランスの知識を教えるだけでなく、食を通じて生きる力を育むことです。学校や保育園と連携しながら、家庭では「楽しい食」「感謝する食」「自分で選ぶ食」を意識した関わりを持つことで、子どもの健やかな成長をサポートできると考えられます。