子どもの野菜嫌い 食育でできることは何ですか
子どもの食事について、特に野菜嫌いは多くの保護者の方が悩まれるテーマです。食育の観点から、この野菜嫌いにどのように向き合い、子どもが自然に野菜に親しめるようになるには、どのようなアプローチがあるかについて解説します。
Q1 子どもが野菜を嫌がるのはなぜですか
A1 子どもの味覚の発達段階や食経験が関係しています
子どもが特定の野菜を嫌がることには、いくつかの理由が考えられます。まず、子どもの味覚は大人よりも繊細で、特に苦味やえぐ味に敏感に反応する傾向があります。これは、自然界において苦味やえぐ味を持つものに毒性がある場合があるため、身を守るための本能的な防御反応とも言われています。
また、新しい食べ物に対する警戒心(ネオフォビア)も関係しています。子どもは未知のものに対して慎重になる性質があり、見たことのない、食べたことのない野菜を警戒するのは自然なことです。さらに、食経験が少ないことも影響します。様々な野菜の味や食感に触れる機会が少ないと、特定の野菜を受け入れにくくなることがあります。
Q2 食育の観点から、具体的にどのような対応ができますか
A2 無理強いせず、肯定的な食体験を積み重ねることが大切です
食育は、単に食べさせることではなく、食べることを通じて心身の成長を促し、食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身につけることを目指すものです。子どもの野菜嫌いに対しては、以下のような食育のアプローチが有効と考えられます。
- 無理強いは避ける 嫌がるものを無理に食べさせると、食事自体が嫌な経験となり、かえって野菜への抵抗感を強める可能性があります。一口でも挑戦できたら褒めるなど、ポジティブな声かけを心がけます。
- 様々な調理法を試す 同じ野菜でも、調理法によって味や食感は大きく変わります。例えば、生がダメなら加熱する、細かく刻んで料理に混ぜ込む、ポタージュにするなど、子どもが受け入れやすい形を試してみます。ただし、混ぜ込む場合も「隠す」のではなく、「これは〇〇という野菜だよ」と伝え、認識させる機会を作ることも大切です。
- 家族で一緒に食べる機会を増やす 大人が美味しそうに野菜を食べている姿を見せることは、子どもにとって何よりも強い影響を与えます。家族で食卓を囲み、会話をしながら食べる中で、自然と野菜への関心や安心感が生まれることがあります。
- 食に関する肯定的な経験を増やす ベランダでミニトマトを育ててみる、一緒に野菜売り場に行って好きな形の野菜を選ばせる、野菜が登場する絵本を読むなど、食べる以外の形で野菜に触れる機会を作ることも有効です。自分で育てた野菜や選んだ野菜には、興味を持ちやすい傾向があります。
- 少量から始めてみる 最初からたくさん盛るのではなく、まずはごく少量だけお皿に乗せてみます。一口でも食べられたら大きな進歩として認めます。食べられなかったとしても、「いつか食べられるといいね」と声をかける程度に留めます。
- 長期的な視点を持つ 子どもの味覚や好みは成長とともに変化します。今日食べなくても、明日、来年食べられるようになる可能性は十分にあります。焦らず、気長に見守る姿勢が大切です。
これらのアプローチは、すぐに劇的な効果が見られるとは限りません。しかし、食を楽しい経験として捉え、多様な食材に触れる機会を地道に作っていくことが、子どもの健やかな食生活の基盤を築くことに繋がります。大切なのは、保護者の方が一人で抱え込まず、様々な方法を試しながら、お子さんにとって無理のないペースで進めていくことです。