子どもが食べ残しをします 食育ではどう考えどう対応する?
共働きで忙しい日々の中、食事の準備は時間との勝負という方も多いかもしれません。せっかく準備した食事を子どもが食べ残してしまうと、残念な気持ちになったり、栄養バランスが心配になったりすることもあるでしょう。また、食品ロスを減らすという観点からも、食べ残しは気になる問題です。
食育の視点から、子どもの食べ残しや家庭での食品ロスについて、その背景にある考え方と具体的な対応方法をご紹介します。
Q: 子どもが食べ残しをするのはなぜですか
子どもが食事を残してしまうのには、いくつかの理由が考えられます。食育の視点からこれらの理由を理解することは、適切な対応を考える上で重要です。
- 生理的な理由
- 単にお腹がいっぱいになった。子どもの胃は小さく、満腹になるのも早いため、大人が考える量とは異なる場合があります。
- 体調が優れない、疲れているといった理由で食欲がないこともあります。
- 味や見た目の好み
- 特定の食材や調理法が苦手である。これは成長過程で自然に見られることも多いです。
- 初めて見る料理や苦手な食材に対する警戒心から、食べるのをためらうことがあります。
- 食事環境や心理的な要因
- 遊びに夢中で食事に集中できない。
- 量が多すぎると感じてしまい、食べる前から意欲を失っている。
- 食事時間が長すぎたり、逆に急かされたりして落ち着いて食べられない。
- 新しい環境や普段と違う状況での食事に緊張している。
これらの理由の多くは、発達段階にある子どもにとって自然なことであり、必ずしも「わがまま」というわけではありません。食育では、食べ残しという結果だけでなく、その背景にある子どもの状態や、食べ物との向き合い方に目を向けます。
Q: 食べ残しや食品ロスを防ぐために、家庭でできる食育はありますか
食べ残しを完全にゼロにすることは難しいかもしれませんが、家庭でのちょっとした工夫や声かけを通して、食べ物を大切にする気持ちを育むことができます。これは、食品ロス(まだ食べられるのに捨てられてしまう食品)を減らすことにもつながり、食育の重要な柱の一つとなります。
家庭で実践できる食育のポイントをいくつかご紹介します。
- 適量を意識する
- 子どもの様子を見ながら、まずは少なめに盛り付けます。「全部食べられたらおかわりできるよ」などと伝え、自分で食べる量を調整する経験を促します。
- 食べ始める前に「今日の量はこれで大丈夫そう?」と声をかけるのも良い方法です。
- 食べ物への感謝を伝える
- 食事の前後に「いただきます」「ごちそうさま」を言う習慣は、食べ物の命、そして食事を用意してくれた人への感謝を伝える大切な行為です。その意味を機会があれば伝えてみましょう。
- 食材がどのようにして食卓に届くのか(畑で育つ、魚が獲れる、農家さんが作るなど)を簡単な言葉で話してみるのも良いかもしれません。絵本などを活用するのも有効です。
- 食材を無駄なく使う工夫を教える
- 料理をする際に、皮や葉なども無駄なく使う様子を見せたり、一緒に調理したりします。
- 残ってしまった料理を別のメニューにアレンジする様子を見せ、「姿を変えて美味しく食べられるんだよ」と伝えます。
- 冷蔵庫にある食材を確認して、献立を考える過程を子どもに見せるのも、食品を使い切る意識につながります。
- 食事環境を整える
- 食事中はテレビを消す、おもちゃを片付けるなど、食べることに集中できる環境を作ります。
- 家族みんなで一緒に食卓を囲む時間を大切にするのも、食事への意識を高めることにつながります。
- 無理強いはしない
- 食べ残してしまった場合も、必要以上に叱責したり、無理やり食べさせたりすることは避けます。かえって食事が嫌いになってしまう可能性があります。
- なぜ食べられなかったのか、子どもの気持ちに寄り添いながら優しく尋ねてみることで、次に活かせるヒントが見つかることもあります。
これらの取り組みは、一度に全てを行う必要はありません。忙しい毎日の中で、できることから少しずつ取り入れ、家族で話し合いながら継続することが大切です。食べ残しや食品ロスを考えることは、食べ物に対する感謝の気持ちや、食を大切にする心を育む豊かな食育の機会となります。