加工食品との付き合い方 食育ではどう考えどう対応しますか
時間がないので加工食品を使うことが多いのですが、子どもの食育に影響はありませんか
共働きで時間がない保護者にとって、加工食品は日々の食事作りを助ける便利な存在です。一方で、子どもの食育への影響について懸念を感じる方もいらっしゃるかと思います。加工食品を一概に「悪いもの」として排除する必要はありませんが、食育の観点からどのように捉え、日々の食生活にどう取り入れるかが重要になります。
加工食品と食育について
加工食品とは、農産物や畜産物などを原料として、手を加えて作られた食品全般を指します。例えば、パンや豆腐、チーズ、ハム、冷凍食品、レトルト食品などが含まれます。加工の度合いは様々です。
食育における加工食品との付き合い方を考える「なぜ」は、主に以下の点にあります。
- 栄養バランス: 加工の過程で栄養素が失われたり、特定の栄養素(塩分、糖分、脂質など)が多く含まれたりすることがあります。
- 味覚の形成: 濃い味付けの加工食品に慣れると、素材本来の味を感じにくくなる可能性があります。
- 原材料への意識: 完成品として提供されるため、子どもが食品が何からできているか、どのように作られているかを知る機会が少なくなります。
- 食品を選ぶ力: 様々な加工食品がある中で、より良いものを選ぶ判断力を育むことも食育の一部です。
加工食品との具体的な向き合い方
加工食品を日々の食生活に取り入れる際に、食育の視点から「どうする」べきか、具体的な方法をいくつかご紹介します。
- 原材料表示と栄養成分表示を確認する:
- 可能な範囲で、原材料がシンプルで、添加物が少ないものを選びましょう。
- 塩分、糖分、脂質の量を確認し、過剰摂取にならないよう意識します。
- 利用する頻度と量を調整する:
- 毎日の食事すべてを加工食品に頼るのではなく、手作りの食事とバランス良く組み合わせます。
- 一度に大量に使うのではなく、食事の一部として利用することを心がけます。
- 加工食品にひと手間加える:
- 冷凍野菜ミックスに旬の野菜を加えたり、レトルトカレーに具材を足したりするなど、加工食品をベースにしつつ、手作りの要素を加えることで、栄養価を高め、食感を豊かにすることができます。
- 加工食品自体の味付けが濃い場合は、薄味に調整したり、調味料の使用を控えたりする工夫も有効です。
- 子どもに伝える機会にする:
- 「これは忙しい時に便利なお助け食品だよ」「〇〇が入っているから、こんな味がするんだね」など、加工食品を使う理由や、どんなものからできているのか、一緒に考えながら話す機会にできます。
- 時には原材料となっている食材(野菜、魚、肉など)をそのままの形で子どもに見せることで、加工される前の状態への理解を促します。
- 手作りの経験も大切にする:
- 加工食品を上手に活用して生まれた時間を使い、週末などに子どもと一緒に簡単な料理やお菓子作りをすることで、食材に触れ、調理の過程を知る貴重な食体験を提供できます。
加工食品は、忙しい現代の食生活を支える一つの選択肢です。上手に利用しつつ、栄養バランス、味覚形成、原材料への意識といった食育の視点を忘れずに日々の食事を組み立てることが、子どもの健やかな成長にとって大切です。すべてを手作りすることだけが食育ではありません。加工食品と適切に付き合い、食に関する多様な経験を子どもに提供することが重要です。