子どもの食事量 少食や食べすぎ 食育の対応
子どもの食事量に関する悩み:食育でどのように考えますか
保護者の方から、お子様の食べる量について、「少なくて心配」「多すぎて困る」といったご相談をよくいただきます。子どもの食事量は、成長段階や体質、活動量など、さまざまな要因によって日々変化するものです。食育の視点から、これらの悩みにどのように向き合い、対応していけば良いのかを解説します。
Q1 子どもの食べる量が少ないと感じます。食育の観点から、どのような対応が考えられますか?
お子様の食べる量が少ないと感じる場合、まずその背景を理解することが大切です。子どもは大人に比べて胃が小さく、消化能力も成長段階にあります。また、活動量によって必要なエネルギー量も変動します。一時的に食べる量が少なくても、身長や体重が順調に増えているか、機嫌よく過ごしているかなど、全身の状態を総合的に見ることが重要です。
【なぜ?】食べる量が少ない背景
- 成長段階: 成長のゆるやかな時期は必要なエネルギー量が減る傾向があります。
- 体質・個性: 元々少食な体質のお子様もいます。
- 活動量: あまり体を動かさない日は、お腹が空きにくいことがあります。
- 食事の環境: 集中できない、食べるのに時間がかかりすぎる、無理強いされるなどの環境は食欲を低下させることがあります。
- 心身の不調: 体調が悪い、精神的に不安定などの場合も食欲が落ちることがあります。
【どうする?】具体的な対応
- 無理強いしない: 食べることを強要すると、食事自体が嫌いになる可能性があります。一口でも食べられたら褒めるなど、肯定的な声かけを心がけましょう。
- 楽しい食事の雰囲気を作る: 家族と一緒に楽しく食べる経験は、食への興味を育みます。
- 食事内容の工夫: 少量でも栄養価の高い食材を取り入れたり、お子様が好きな調理法で提供したりする工夫も有効です。ただし、好きなものばかりにならないようバランスも考慮します。
- 食形態の調整: 硬すぎたり大きすぎたりすると食べるのが大変な場合があります。お子様の咀嚼力や発達段階に合わせた形態に調整しましょう。
- 規則正しい生活: 食事、睡眠、遊びのバランスが取れていると、規則正しい空腹感が生まれます。
- 専門家への相談: あまりにも体重が増えない、元気がなく食欲不振が続くなどの場合は、医師や栄養士に相談することを検討してください。
Q2 子どもがいつもたくさん食べます。食べすぎは食育上、どのように考えれば良いですか?
お子様がたくさん食べる場合も、一概に「食べすぎ」と判断するのではなく、その理由や食事の内容、お子様の状態を考慮することが大切です。成長期の子どもは活動量も多く、たくさんのエネルギーを必要とすることがあります。ただし、必要以上に食べ続けることや、特定の食品ばかりを大量に摂取することは、将来的な食習慣に影響を与える可能性も考えられます。
【なぜ?】たくさん食べる背景
- 成長期: 体が大きくなるために多くのエネルギーや栄養が必要です。
- 活動量が多い: 運動や遊びなどでエネルギーをたくさん消費している場合は、その分多くの食事を必要とします。
- 早食い: 満腹を感じる前に食べ終わってしまうことがあります。満腹中枢が働くには少し時間がかかります。
- 食事内容の偏り: 栄養バランスが偏っていると、特定の栄養素を補おうとしてたくさん食べてしまうことがあります。
- 精神的な要因: 退屈、不安、ストレスなどを紛らわせるために食べる行動に走ることがあります。
- 満腹中枢の未熟さ: まだ自己コントロールが難しい場合があります。
【どうする?】具体的な対応
- 量より質を重視: 量を制限するよりも、栄養バランスの取れた食事を提供することを優先します。野菜やきのこ類など、食物繊維が多く満腹感を得やすい食品を取り入れましょう。
- ゆっくり食べる工夫: 一口ごとに箸を置く、よく噛むことを促す、家族で会話しながらゆっくり食べる時間を作るなどの工夫をします。
- 間食の見直し: 食事以外での間食が多い場合、量や内容、与える時間を見直します。食事に影響しない程度の量と質、時間を決めましょう。
- 大人の声かけ: 「もうお腹いっぱいかな?」「よく噛んで食べようね」など、お子様自身の体と向き合う声かけを促します。
- 食事以外の充足: 食事以外の時間で体を十分に動かす、スキンシップを図るなど、心身の充足を満たすことも大切です。
- 専門家への相談: 体重増加が著しい、血糖値などが気になる場合は、医師や栄養士に相談することを検討してください。
Q3 少食や食べすぎに関わらず、子どもの食事量について共通して大切な食育の考え方はありますか?
お子様の食事量に悩む時、量だけに注目するのではなく、食全体への関心や食べる喜びを育む視点が食育においては重要です。
- 食事の時間を大切にする: 家族で食卓を囲み、会話を楽しみながら食事をすることで、心を満たし、食べることへの肯定的なイメージを育みます。
- 「いただきます」「ごちそうさま」の習慣: 食材への感謝、作ってくれた人への感謝の気持ちを育むことは、食べ物を大切にする心につながります。
- 食材に触れる機会を作る: 一緒に買い物に行く、家庭菜園をする、簡単な料理を一緒にするなど、食材の形や色、香りに触れる機会は、食への興味や探求心を深めます。
- 完璧を目指さない: 子どもの食事は日によって波があるものです。毎日完璧な栄養バランスや量を達成しようと気負わず、長い目で見てバランスが取れているか、食事が楽しい時間になっているかを大切にしましょう。
子どもの食事量は、成長の一つのサインです。量に一喜一憂するのではなく、お子様が心身ともに健やかに育つための食環境を整え、食べることを通して様々な学びを得られるようサポートしていく視点が、食育においては最も大切と言えます。