子どもにおやつ、いつ何をどのくらい? 食育の視点
食育に関心をお持ちの保護者の方から、「子どもにおやつは必要ですか」「どのようなものを選べばよいですか」といったご質問をよくいただきます。ここでは、食育の視点から見たおやつの考え方について解説します。
Q1 子どもにおやつは必要ですか
A1 はい、必要であると考えられます。
子どもは大人に比べて一度にたくさんの量を食べられませんが、成長のために多くのエネルギーと栄養素が必要です。三度の食事だけでは、必要な栄養を十分に摂取することが難しい場合があります。おやつは、この食事だけでは不足しがちな栄養やエネルギーを補う「補食(ほしょく)」として重要な役割を果たします。
また、おやつは単に栄養補給だけでなく、心や体の休息や気分転換の時間にもなります。楽しい雰囲気の中で食べる経験は、食べる喜びを知ることにも繋がります。
Q2 どのようなおやつを選べばよいですか
A2 栄養を補う「補食」としての役割を意識して選びます。
一般的に「お菓子」と呼ばれるものだけでなく、食事の一部と考えらえるものが適しています。具体的には、以下のようなものがおすすめです。
- 果物: ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富です。旬の果物は風味も豊かです。
- 乳製品: 牛乳やヨーグルト、チーズなど。カルシウムやたんぱく質が摂取できます。
- おにぎりやパン: 炭水化物によるエネルギー補給になります。具材を工夫すれば栄養価を高められます。
- ふかし芋やとうもろこし: 食物繊維やビタミン、ミネラルが含まれます。
- 手作りのもの: 甘さや油分を調整でき、添加物を気にする場合にも安心です。
市販のお菓子を選ぶ際は、原材料表示を確認し、糖分や脂肪分が多いもの、添加物が多いものは控えめにすることをお勧めします。清涼飲料水やジュースは糖分が多く、虫歯のリスクも高まるため、基本的には水やお茶が望ましいです。
Q3 おやつはいつ、どのくらいの量を与えればよいですか
A3 食事に影響しない時間帯に、食事の妨げにならない量を与えます。
おやつを与える時間は、食事の2時間前くらいまでには終えるのが目安です。食事の直前におやつを食べてしまうと、食事が十分に食べられなくなる可能性があるためです。午後のおやつの時間であれば、15時頃などが考えられます。
量については、子どもの年齢やその日の活動量によって異なります。具体的な量は決まっていませんが、目安としては1日の総摂取エネルギーの10~15%程度がおやつから、と言われることもあります。しかし、量よりも質が重要です。少量でも、栄養バランスを考えて選んだものが望ましいです。
おやつは「食事がきちんと食べられたらご褒美に」という位置づけではなく、あくまで成長に必要な栄養を補うための時間と捉えることが大切です。
Q4 おやつを通して食育はできますか
A4 はい、おやつは食育の機会になり得ます。
- 選ぶ過程: どんなおやつにするか、子どもと一緒に考えたり選んだりすることで、食べ物に関心を持つきっかけになります。
- 準備や手作り: 果物を洗う、皮をむくといった簡単な手伝いをしてもらう、または一緒におやつを手作りする過程で、食べ物への興味や感謝の気持ちを育むことができます。
- 五感を使う: おやつの色、形、香り、味、食感を感じながらゆっくり食べることで、五感が刺激され、食への関心が高まります。
- 感謝の気持ち: 誰が作ってくれたのか、どのようにしてここに届いたのかなど、食べ物にまつわる話をすることで、感謝の気持ちを育む機会になります。
- 楽しむ経験: 家族や友人と一緒に、リラックスした雰囲気でおやつを食べる時間は、食事が楽しいものであるという経験に繋がります。
おやつは、栄養補給としてだけでなく、食に関する様々な学びや経験ができる大切な時間です。忙しい中でも、少し意識して選んだり、声かけをしたりするだけで、食育に繋がる可能性があります。