朝ごはんを食べない子ども 食育の視点と家庭での対応
朝ごはんを食べない子ども 食育の視点と家庭での対応
保護者の方から、お子様が朝ごはんをなかなか食べてくれないというお悩みを伺うことがあります。忙しい朝に食べるか食べないかで格闘するのは大変なことと思います。食育の観点から、なぜ朝ごはんが大切なのか、そして家庭ではどのように対応できるのかについて解説いたします。
Q1. なぜ朝ごはんが食育において大切なのですか?
A1. 体と脳の活動スイッチを入れる大切な食事だからです。
朝ごはんは、眠っていた体や脳を起こし、午前中の活動に必要なエネルギーを補給する役割があります。特に子どもは脳の発達が著しいため、朝ごはんによってブドウ糖を補給することは、集中力や記憶力に影響すると考えられています。
また、朝ごはんを食べることは、体内時計をリセットし、規則正しい生活リズムを作る上でも重要です。体内時計が整うことで、夜にぐっすり眠り、朝にすっきり起きるという良いサイクルが生まれます。
さらに、朝ごはんは一日の栄養バランスを整えるチャンスでもあります。忙しい一日の中でも、朝にしっかりと栄養を摂ることで、必要な栄養素をバランス良く摂取しやすくなります。家族と一緒に食べる習慣があれば、コミュニケーションの場としても食育に繋がります。
Q2. 朝ごはんを食べたがらない子どもには、どう対応すれば良いですか?
A2. 無理強いせず、原因を探りながら、できることから取り組む姿勢が大切です。
まず大切なのは、無理やり食べさせようとしないことです。食事が嫌いになったり、親子関係が悪化したりする可能性があります。
子どもが朝ごはんを食べたがらない理由は様々です。
- まだ眠い、お腹が空いていない: 就寝時間や起床時間を見直す、朝食までの時間を少し空けるなどが考えられます。
- 量が多すぎる、内容が苦手: 少量から始めたり、パンやおにぎり、果物、ヨーグルトなど、手軽で食べやすいものを用意したりする工夫が有効です。
- 食べる環境が落ち着かない: テレビを消す、家族で一緒に食べるなど、食べることに集中できる環境作りも大切です。
なぜ食べたくないのか、子どもの気持ちに寄り添いながら原因を探ることも有効です。また、朝ごはんで十分な量が食べられなくても、昼食や夕食、補食(おやつ)で全体の栄養バランスを整えることを意識しましょう。
朝ごはんを食べる習慣は、すぐに身につくものではありません。長期的な視点で、焦らずできることから取り組むことが重要です。
Q3. 忙しい朝でも、朝ごはんを用意する工夫はありますか?
A3. 事前の準備や、手軽に用意できるメニューを活用しましょう。
共働きのご家庭にとって、忙しい朝に手間のかかる朝ごはんを作るのは難しい場合があると思います。いくつかの工夫をご紹介します。
- 前日の夜に準備:
- 味噌汁の野菜を切っておく。
- おにぎりの具材を用意しておく。
- パンに塗るジャムやバターを出しておく。
- 果物をカットしておく。
- 短時間で用意できるメニュー:
- ごはん+味噌汁(前日準備)、納豆、卵焼き(作り置きや冷凍活用)
- 食パン+チーズやハム、目玉焼き、果物、ヨーグルト
- おにぎり+インスタント味噌汁
- シリアル+牛乳やヨーグルト、果物
- 冷凍食品やレトルト食品の活用:
- 冷凍おにぎりやパン、野菜ミックス、カットフルーツなどを活用します。
- レトルトのスープなども便利ですが、塩分量などに注意し、他のメニューと組み合わせて栄養バランスを考えます。
- 調理器具の活用:
- 電子レンジで温めるだけ、トースターで焼くだけ、といった手軽な調理法を活用します。
- 多機能鍋で前日の残り物や具沢山スープを温めるなども良い方法です。
- ワンプレートや盛り付けの工夫:
- 片付けの手間を減らすために、ワンプレートに盛り付けたり、お盆に乗せて各自が運べるようにしたりするのも工夫です。
完璧を目指す必要はありません。まずは「何かお腹に入れる」ことから始め、徐々に内容を工夫していくという考え方も良いでしょう。ご家庭のライフスタイルに合わせて、無理なく続けられる方法を見つけてください。
朝ごはんを食べる習慣作りは、子どもの健やかな成長にとって大切な食育の一つです。保護者の方が抱え込みすぎず、できる範囲で楽しく取り組んでいただければと思います。